薬剤師が教える寒い時期の快眠方法

2021年5月24日

快適な睡眠を得るためには睡眠環境を整える事が重要です。

温湿度、光、音は睡眠に影響を及ぼし
その中でも温湿度がかなり影響を及ぼします。

まだまだ寒い時期が続いていますので
今回は寒い時期の快眠方法についてお話ししたいと思います。

その中でも体温をどのようにコントロールしていくかに重点を置いて紹介していきます。

体温と眠気の仕組み

快適な睡眠には温湿度が重要という事ですが、
その前に体温の変化が眠気にどのように影響をするのかについて紹介していきたいと思います。

こちらの図では

上から睡眠深度、
深部体温(体の内部の温度)、
皮膚温度(手足の温度)の関係性を表しています。

図では睡眠が24時から始まり7時頃に起床しております。

次に温度について見ていきましょう。

まず深部体温は日中高い状態ですが、
夜の眠りにつく少し前から徐々に下がっているのが分かるかと思います。

逆に皮膚体温は眠る数時間前から上がっております。


良い眠りを誘うには
この皮膚温度と深部体温の差を縮める事が重要なポイントとなります。


では次に冬の寒い環境で
どのようにすれば体温をコントロールして良い眠りにつけるか
ご紹介していきたいと思います。

寒い時期に快眠を得る方法

お風呂

お風呂に関しては皆さん入ると思いますが、
ここのお風呂はシャワーではなく湯船に浸かるという事を言います。

湯船に浸かるというのが深部体温を下げるには最も有効と考えられます。


「湯船に使ったら体温が上がるじゃないか!」
と言いたい所だと思いますが、
もう少し説明させて下さい。

もちろん湯船に浸かると一時的に深部体温は上がります。

下の図は
青色が入浴しなかった時の夜間の体温変化
赤色が入浴した時の体温変化です。



入浴により上がった体温を下げようと体がするため
より自然に・効率的に深部体温が下がっていきます


先ほどもお話ししましたが、
この深部体温の下がりが良いと良い眠りにつながります。

また、皮膚温度の上昇についてですが、
こちらは深部体温を下げるために起こる現象です。

深部体温を下げるために手足から熱を放出するので
手足が温かくなり皮膚温度が上昇していきます


赤ちゃんがウトウトしている時
手足を握ると温かいのはこの影響をうけているからです。

赤ちゃん(乳児期)の睡眠
赤ちゃん(乳児期)の睡眠
赤ちゃん めちゃくちゃ可愛いですよね! ずっと見ていられますよね! 目に入れても痛くないとはこのことか! とか思っちゃいますよね!!!! わたくしまっちゃんも子.....

話は脱線しましたが、
流れをまとめますと

入浴

体温が上昇する

体温を下げようとする

手足などの皮膚体温が上がり熱を放出する

深部体温が下がってくる

深部体温と皮膚温度の差が縮まる

眠たくなる

良い睡眠につながる

という流れになります。

睡眠に満足してない患者さんにぜひ入浴をオススメして欲しいと思います。

では次に、
・温度は?
・どのくらい入ればいいの?
・寝る何時間前に入ればいいの?

という細かな所についてお話しします。

お風呂の温度

温度は40℃以下のぬるめのお湯がオススメです。


42℃以上の熱いお湯ですと交感神経が優位になり、
体が目覚めてしまうことにつながります。

寝るためにはリラックスにつながる
副交感神経を優位にしないといけないので温度には注意して下さい。

入浴時間

次にどれくらい入ればいいの?
という所ですが

15分以上入ればいいと考えます。

もちろん個人差はありますが、
15分未満ですと深部体温の上昇が期待しているよりも得られなくなってしまうと考えられます。

(40℃のお湯に15分浸かると深部体温が0.5℃上昇すると言われている)

寝る何時間前の入浴が良いか

最後に
寝る何時間前に入浴するのが良いか?
ですが、

よく寝る90分が良いと言われていますが、
冬の寒い環境においては全ての人が90分で適切な時間とは言えないと考えております。

冷え性の方などは入浴後90分経つと
体が冷え切って眠れなくなってしまいます。

このような方から個人差も考えて
60〜90分くらい前に入浴して一番心地よく眠れる時間を探して下さいと
私はご案内します。


「結局個人に任せるのかよ!」
という感じですが、

睡眠にはこれが絶対誰にでも効果があるというものは
ないと思っていた方が良いでしょう。

次に入浴に関連した事をまとめていきます。

その他のお風呂関連情報

入浴剤の効果は?

入浴剤については効果をはっきり言えませんが、
炭酸温泉では深部体温が大きく上げて下げる事ができると言われております。

この結果から
入浴剤でもその効果が期待できる可能性はあるのではないか?
と微妙な答えとさせていただきたいと思います。

シャワーではダメなのか?

シャワーについてですが、
体を洗うというだけならシャワーで十分かもしれませんが、

体温を上げて良い眠りにつく
という面では不十分になります。

それでも時間がなくてシャワーで済ませたいという方は
シャワーが終わって体が冷え切る前に床につくようにしましょう。

足湯の効果

入浴の大切さをお話ししているときに
手足を温かくして皮膚温度を上げる事で深部体温が下がる事を紹介しました。

足湯は足の血行を良くして皮膚温度を上げ、熱放散にとても有効な手段となります。

その結果、深部体温も下がりますので
足湯は熱放散というアプローチで非常に有効な手段と言えます。

日々お忙しくして眠りに満足していない方に足湯をぜひぜひオススメして欲しいと思います。

室温

室内がどうしても寒くなってくる冬には
室温コントロールも重要になってきます。


冬の推奨温湿度は

温度:16〜19℃
湿度:50〜60%

が眠りの環境としては良いと言われております。

最低でも15〜16℃以上の室内環境にはして欲しいと思います。


室温を上げるのにエアコンを有効に使って欲しいと思います。

高齢な方はエアコンよりも着込んで寒さ対策をしますが、
ぜひエアコンを使うようオススメしてもらえたらと思います。

エアコンの使い方としては

寝室を寝る直前まで温めておき
床に入る前にスイッチを消すようにすると

室温の下がりが深部体温の低下を邪魔しなくなります


補足ですが、
朝目覚める時もエアコンは有効です。

朝目覚めるときに体温が上昇するので、
起きる時間の少し前からタイマーで暖房をつけて
体温上昇と室温上昇を同じようにしていくと自然に起きやすくなります。

暖房器具

電気毛布

暖房グッズとしては電気毛布を使っている方も多いと思います。

気持ち良く布団に入るために寝る直前まで電気毛布で温めることは良い使い方と言えるでしょう。

しかし、体温と眠気の仕組みの話が関わってきます。

電気毛布をずっとつけっぱなしにすると
深部体温が下がらないので、
スムーズな眠りを妨げる原因となります。

このような理由から電気毛布を使う際は
寝る1時間前から布団を温めておき
寝る直前にはスイッチを切る
という使い方が良いでしょう。


湯たんぽ

湯たんぽは再び注目されてきている暖房グッズです。


寝入る時は温かく、
徐々に温度が下がり深部体温の低下を邪魔しません。


このような理由から快眠にとって理にかなったグッズと考えられます。

靴下

手足を温める事が快眠につながるという話をしたので
「それならは靴下も手足を温めるからイイよね」
という話になるかもしれません。

しかし、靴下は眠る時は避けて頂きたいと思います。

理由は靴下を履いたままだと
靴下に熱がこもり
足からの熱放散が上手くいかず体温低下を妨げます。

冷え性の人にとっては夜に靴下を履きたい気持ちは分かりますが、
寝る直前には脱いで眠りについて欲しいと思います。

もし、
寝るときも靴下を履きたいという方がいましたら、
ユルユルで寝ている最中に脱げてしまうくらいの靴下を履くようにして下さい。

足浴のススメ

睡眠がスムーズにいかない人の中には
自律神経が乱れている方もいらっしゃいます。


自律神経が乱れると
手足の末梢の血管が収縮して熱放散がうまく働かなくなっております。

その乱れた自律神経のメリハリを取り戻すのに有効なのが「足浴」です。


温かいお湯に足をつけ、
その後に冷たい水に足をつける

という流れを4〜5回繰り返します。

入浴中でしたら
湯船のお湯とシャワーの水を使って足浴をしてもいいでしょう。

足浴を行う際に大切なポイントは
最後は冷たい水で終わるという事です。


最後冷たい水で終わった場合、
足の末梢血管が収縮した状態で終わります。

その結果、
体は血管を拡張させようと働き自然と手足からの熱放散へと繋がり
快適な睡眠につながります。


足浴は寒い時はもちろんですが、
夏場のクーラーなどで自律神経が乱れた場合でも有効です。

一年を通して使えるテクニックですのでぜひ皆さんにオススメしたいと思います。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

冬は寒くて特に眠れない方も多いかと思いますが、
体温、室温をコントロールして良い眠りにつなげるアドバイスをお伝え頂ければと思います。

私の薬局でも
今年から睡眠改善のためのチラシを作成しております。

このブログで書いた寒い時期の睡眠ポイントについて
1枚のチラシにまとめて患者さんにお渡ししております。

患者さんと睡眠についてお話しできるツールとなっておりますので
良ければ皆さんも参考にして頂ければ幸いです。

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