薬剤師でも簡単にできる睡眠の評価方法

2021年5月24日

今日は

「最近眠れないです」という方が来局されたときに
・どれだけ眠れていないのか?
・夜眠れていない事による日中の眠気はどうか?

というのを知る評価方法について紹介します。

もし患者さんとじっくりお話できる時間がある場合は
これから紹介する評価方法を使って

「習慣の変化で睡眠がどう変わったか?」
「薬を飲む前後でどう変わったか?」
を視覚化してもらえたらと思います。

また、最後には
「朝型か?夜型か?」
を知る事ができる簡単な方法についても紹介したいと思います。
皆さんもぜひやってみて下さい。

エプワース眠気尺度(ESS)

はじめに紹介するのは自身の眠気を評価できるツールです。

こちらは世界中で広く用いられているものでESSと呼ばれています。

 

余談ですが

ESSの由来はオーストラリアのマレー・ジョーンズ先生が
働いていたエプワース病院で開発したことから

Epworth病院のE

眠気SleepinessのS

尺度ScaleのS

の頭文字をとってE S Sと名づけられました。

 

それではESSがどのようなものか
あなたも実際に評価してみましょう。

評価するときの注意点は

今現在感じている眠気ではなく

最近の平均的な日常生活を思い浮かべながら答えていってください。


ESS日本語版 調査票
     ↑
こちらでもESS調査票を見る事ができます


8つの項目を答えましたでしょうか?
終わりましたら、点数を合計してください。

点数が24点満点のうち
11点以上であれば眠気があると評価されます。

また16点以上の人はかなり眠気が強いと判断されますので
このような方には睡眠習慣の変化をすすめることや
それでも良くならない方には受診をすすめる方がいいかと思われます。


ちなみにナルコレプシーという病気の方は20点以上の点数が出たりします。

ESSの注意点

このようにESSは眠気を評価できるツールとなっていますが、
あくまでも自覚的なものなので正確に評価できないこともあります。

特に点数が低い方は
安易に眠気がないと評価すべきではないと
薬剤師のあなたには理解して頂ければと思います。

これを裏付けるデータがあるので紹介したいと思います。

こちらは自覚的な眠気と客観的な作業能力(単純な作業のミスの回数)
をみたデータです。

健康成人を全く寝ない状況、4時間睡眠、6時間睡眠、8時間睡眠に分けて
客観的な作業能力(左のデータ)と、自覚的な眠気(右データ)を
2週間観察しました。

全く寝ない状況は眠気(ESSの点数)と単純なミスの回数はキレイに相関して
眠気が強くなるほど反応速度が遅れミスが増えていました。

徹夜すればミスが増えるのは皆さん容易に想像つきますよね。

次に
4時間睡眠や6時間睡眠の人は
3日目以降ESSの点数(眠気)はあまり上がっていないのに
作業能力は徐々に低下してミスが多くなっていっております。

このことから
睡眠不足が続くと、自分では大丈夫と思っていても
体は睡眠不足ですぐ反応できず、作業ミスや事故に繋がるという事を表していると言えます。


長距離バスの運転手さんや夜勤の薬剤師・看護師さんなども
このような自身の眠気と体の状態にギャップがある場合があると注意して
評価データを見てもらえたらと思います。

アテネ不眠尺度

次に紹介するのは不眠の度合いをみるツールです。

ESSは日中の眠気を評価するツールに対して
アテネ不眠尺度は夜の睡眠状態や睡眠の満足度など広く評価するツールとなっております。

このチェックリストは
世界保健機構(WHO)が中心となって行った

「睡眠と健康に関する世界プロジェクト」の一環として用いられたツールで、
ICD-10の診断基準に基づいて作られたものです。

8つの項目に対して
過去1ヶ月に少なくとも3回以上経験したものに○をつけていくものです。

ぜひあなたも測定してみましょう。

アテネ不眠尺度
   ↑
こちらからもアテネ不眠尺度は見れます

 

24点満点で

  • 0〜3点:不眠障害の心配はありません
  • 4〜5点:不眠障害の疑いは少しあります
  • 6点以上:不眠障害の疑いがあります

 

そして臨床では

  • 12点以上を中程度の不眠障害
  • 16点以上を重度の不眠障害としてみなされています。

私たち薬剤師は
ESSやアテネ不眠尺度を使って評価するだけでなく
受診をすすめる目安にしていただくのも良いと思います。

また、患者さんに対して睡眠衛生指導の前後で
どれだけ睡眠の状態や日中の眠気が変わったのかの変化を
可視化するものとして使って頂くのが良いのではないかと私は考えます。


あくまで自覚的なものなので
人と点数を比べることや
点数だけで睡眠が良い悪い評価するのではなく

同一人物の眠気の変化を見るツールとして
ESSやアテネ不眠尺度を使ってもらえたらと思います。


睡眠日誌

睡眠日誌は過去の記事を参考にして頂ければと思います。

患者さんの睡眠を把握する 睡眠日誌とは?
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薬剤師として働いている皆さんは眠剤を服用されている患者さんから 「あんまり眠れていないな」という話を聞くとどのように考えますか? とっさに、眠れるポイントをお伝.....


患者さんにアドバイスをすべき
ポイントが一目で分かったりするので非常に便利なツールです。
ぜひ活用してみて下さい。

朝型夜型質問紙(MEQ)

最後に評価ツールではないのですが
自分が朝型か夜型かを知るためのチェックリストがありますので
皆さんもぜひ測定してみて下さい。

こちらは
簡単に測定し評価までしてくれるサイトがありますので
サイトのリンクを紹介します。

数分で評価できますのでぜひぜひ試してみて下さい。
  ↓

朝型夜型質問紙


まとめ

今回はESS、アテネ不眠尺度、睡眠日誌、朝型夜型質問紙
の4つの評価ツールを紹介しました。

患者さんの睡眠を良くする知識を伝えるのも大切ですが
睡眠の現状を知った上でどうアドバイスするかを
考える方がより良いアドバイスができると考えております。

質問表など時間が必要なものもありますが
薬を調剤している間の待ち時間でチェックしてもらったり
家で書いてきてもらったり工夫しながら活用してもらえればと思います。

患者さんから睡眠について相談された時に使う資料
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