日本臨床睡眠医学会学術集会へ参加してみた
スリープファーマシスト のまっちゃんです。
今回は念願の日本臨床睡眠医学会 学術集会へはじめて参加してきました。

感想を一言で言うと「知らないことばかりで面白いけど、まだまだ睡眠について勉強不足だな!!」
と感じる1日でした。
薬剤師で「睡眠について興味はあるけど、学ぶ場がないよね」と思っていた方にはぜひオススメかと思います。
参考にして頂ければと思います。
目次
日本臨床睡眠医学会について
日本臨床睡眠医学会Integrated Sleep Medicine Society Japan
(頭文字をとってISMSJとも言われている)は
2008年8月の創設以来、
職種や専門分野を超えて日本の中で実行と維持が可能な正しい「睡眠医学」を学べる場をつくり、それを実践する人々が連携しあえる学会を目指してきました。
(ISMSJ HP引用)
と発表している学会です。
2008年創設ということで今回の学術集会は11回目。
今後さらに発展していきそうな学会です。
またミッションも素晴らしく
- 睡眠のチーム医療を推進します
- 睡眠医学のInfrastructureづくりに貢献します
- 世界に通じる日本の睡眠医学をつくっていきます
という3つをかかげておられます。
そんな挨拶やミッションをみると
「職種や専門分野を超えて連携しあえる」
「睡眠のチーム医療」
→睡眠医学についても薬剤師と連携することは今後必要だ!!
「睡眠医学が学べる場づくり」
「世界に通じる日本の睡眠医学」
→睡眠についてもっと深く学びたい!!!!!
ということから
スリープファーマシストの私も内容についていけるか不安を感じながらも
飛び込みで学会に参加してきました。
スケジュールについて
今年の学会のスケジュールとしては
2019年10月11日(金)、12日(土)の2日間となっており、
演題数は多くないものの
一つ一つの内容の濃さを感じる学術集会でした。
参考までに今回の日程表をのせるので
「この演題面白そう!」
「ちょっと聴いてみたいな!」
なんて思うきっかけになれば嬉しいです。


学会参加の感想と演題内容
学会の感想
「高い専門知識や略語でついていけるか不安だな。」
「PSG(睡眠ポリグラフ検査)について正直分かっていないから理解できるかな。」
と多少なりとも不安を感じながら参加しました。
案の定、PSGで脳波の結果などを見ても理解できない事も少なからずありましたが、
それ以上に
睡眠についての新たな知識が増える事や
様々な先生の睡眠についての研究や啓発活動を聞くことができて
「睡眠って分かっていない事が多いけど本当に面白いな!」
と感じる事が出来ました。
そして、
学会の雰囲気としては
演題終了後の質問がとても多く、
先生同士のディスカッションでもさらに勉強になるので
今まで僕が参加してきた勉強会とは違う雰囲気で新鮮でした 。
規模としては睡眠学会の時より小規模でしたが、
個人的には内容が集約しており、参加者同士の距離感も近いので
素晴らしい学術集会だと感じました。
2019年の学術集会はちょうど台風19号が土曜日に最接近する経路をたどっていたため、
2日目の参加は断念しましたが、
来年は必ず2日とも参加したいと思える学術集会でした。
演題内容
ここまで読んで頂いて具体的にどんな内容だったか知りたい方もいると思いますので、
(そう信じています。笑)
読んで頂いている皆さんと自己復習のためにもアウトプットしたいと思います。
※学会発表内容の個人情報や発表された先生にご迷惑がかからないよう詳細な記載は控えさせていただきます。
組織委員長講演
「臨床に携わる全ての人に伝えたい、
身近にある睡眠医学」
演者:小栗 卓也 先生(公立陶生病院 脳神経内科)
ここでは小栗先生のところへ受診された3つの症例についてお話を聞きました。
1例目はナルコレプシーについてでした。
実際の患者さんの動画を見せて頂くことでリアルなナルコレプシーの症状を勉強できる機会となりました。
2例目は睡眠時間の不足していた患者さんについて。
3例目は胃腸疾患が原因で夜の不眠を訴えている症例でした。
僕たち薬剤師は診断をすることはできないですが、
それぞれの症例で患者さんの話を聞き適切な医療機関への紹介であったり
睡眠のアドバイスができる可能性があると再確認しました。
教育プログラム①
「睡眠時間と脳機能の関係をどう解釈し、
誰にどう伝えるか」
演者:河合 真 先生(スタンフォード大学 医学部精神科 睡眠医学部門)
次はTwitter内でご存知の方も多いかもしれません河合先生の講演でした。
(もちろん私も河合先生をフォローしています。)

河合先生はTwitterで日本の皆さんに「もっと眠れ」というメッセージを様々な情報をもちいて伝えてこられた先生です。
その中でデータの読み取り方や一般の人への伝え方など
医療従事者として勉強になる事が多い講演でした。
MRをしていた僕は先生にデータを紹介する際、
有意差(p値)ばかり気にしていましたが、
効果の大きさ(d値)の重要性を知る機会となりました。
睡眠医学に携わりたいと考える一人として私も伝えていければと思います。
ランチョンセミナー①
「てんかんと睡眠」
演者:重藤 寛史 先生(九州大学大学院医学部研究院保健学部門検査技術科学分野/九州大学病院脳神経内科)
この内容が私の中で一番難しいと感じた内容で
睡眠中であったり病室内でのてんかん発作についてでした。
患者さんの動画もあったのでイメージはわく内容でしたが、
PSG(睡眠ポリグラフ検査)を分かっていなかったことと
てんかんと睡眠の関わりについて勉強した事がなかったので
まだまだ勉強不足だと感じる内容でした。
教育プログラム②
「睡眠医学のcase presentation」
- 睡眠中の奇声(叫び声?、寝言?)を主訴として糖尿病内科より紹介された61歳肥満男性
演者:立花 直子 先生
(関西電力病院睡眠関連疾患センター)
睡眠医学ではPSGは切っても切れない分野で
今回もPSGが出てきたのですが診断の流れから講演いただいたのでわかりやすい内容でした。
また、当たり前の事ですが、睡眠中の異常行動については患者家族の情報が非常に大切となることを再度確認できました。
- 頻発する居眠り運転事故の原因を解明するために受診した61歳男性
演者:井上 雄一 先生(睡眠総合ケアクリニック代々木)
この内容では居眠り運転事故で警察から井上先生の元へ相談にあったケースについての講演でした。
ここでは睡眠時無呼吸症候群の問題や、貧困による長時間労働・疲労運転などの社会として取り組まなければならない問題を考える機会となりました。
個人として自分は何が出来るのだろうか?
と考えさせられる内容でした。
シンポジウム①
「あらゆる世代で睡眠時間を尊重する」
- 睡眠時間と子どもの脳の発達
演者:星野 恭子 先生
(医療法人社団昌仁醫修会 瀬川記念小児神経学クリニック)
- 学校現場での睡眠教育の重要性と睡眠教育の実施
演者:田中 秀樹 先生(広島国際大学心理学部)
- より眠り、よく働くために必要なこと
演者:高橋 正也 先生
(労働安全衛生総合研究所過労死等防止調査研究センター)
- 睡眠時間と生涯のわたる健康〜睡眠時間と認知症を予防する脳の健康〜
演者:江川 斉宏 先生
(京都大学大学院医学研究科臨床神経学)
こちらでは赤ちゃん、学生、働く世代、高齢者の4つの世代の睡眠について順番にご講演いただきました。
世代別にどのようなことを伝えていかなければならないかのポイントを知る機会となり非常に勉強になりました。
まその後にパネラーの先生と学会出席の先生とのディスカッションがあったのですが、その話も面白くてメモする事だらけの時間となりました。
イブニングセミナー
「プロテオスタシスと睡眠 ―「良い眠り」による神経変性疾患の疾患修飾治療の可能性―」
演者:皆川 栄子 先生(国立精神・神経医療研究センター神経研究所疾病研究第四部)
皆川先生の講演では現在進行形で研究されている事についてご講演いただきました。
アルツハイマー病やパーキンソン病に代表される神経変性疾患と睡眠との双方向の関係性についての内容で新しい発見ばかりでした。
どの内容も皆さんにもっと共有したかったのですが、
今後の論文化などで先生にご迷惑をかけないようにかなり省略させていただきました。
知りたい方はコメントいただければ、個別にメッセージ送らせていただきます。
来年(2020年)第12回の学術集会日程

会期:2020年10月23日(金)〜24日(土)
会場:なんばスカイオコンベンションホール
大阪府大阪市中央区難波5丁目1-60
テーマ:睡眠医学の多様な魅力
ISMSJホームページ
ここまで読んでいただき日本臨床睡眠医学会って面白そうやん!!
と思った方はぜひISMSJホームページを開いてみて下さい。
↓

睡眠医学に興味を持たれた方は上記のホームページを開いて、
スタンフォード大学の河合真先生が書かれている
スタンフォード便りを読んでみましょう!
こちらでもすごく勉強になりますよ!!
まとめ
いかがでしたでしょうか。
薬剤師の皆さんも日本睡眠医学会について興味を持っていただけましたでしょうか。
来年の開催は大阪ですので、2日とも必ず参加しようと思っております。
薬剤師で参加しようと考えられた方は
スリープファーマシストの松本まで連絡待っています。
ぜひ一緒に学術集会へ参加しましょう!
最後に、
日本臨床睡眠医学会 事務局の方
このブログを書くことをお許しいただき
ありがとうございました。
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